優秀な人材を確保したいという考えはどんな企業でも常に求めている重要課題です。人材不足が進んでいる現在、この対策は重要で、人事部による優秀な人材の見極めがポイントになります。しかし、現状の人事部の業務内容では採用にかける時間が十分ではないのではないでしょうか。優秀な人材が他社に流れてしまうことは機会損失となります。
今回は、優秀な人材を確実に確保して機会損失を防ぐ方法について解説していきます。
人事部の抱える悩みとは
企業における採用は人事部が担っています。人事部の役割は企業の人に関することすべてであり業務内容は幅広く、人材を人財に変える企業の中核となる仕事です。
人事部では、人材が流出しないことや相乗効果が生まれる環境つくりなどが求められ、適切な人事評価システムや適材適所の人材配置を常に考える必要があります。また、既存社員への対応に尽力するあまり、企業にとって重要な採用に関する業務に時間が割けないという悩みがあります。
このような状況では、履歴書による書類選考や面接における見極めなどに影響を及ぼします。優秀な人材を確保することには結びつかないこととなり、人材を他社にみすみす渡してしまうという機会損失となって現れます。
今後の少子高齢化の推計を鑑みると、いかに効率的に採用活動を行い、優秀な人材を確保できるかということが人事部には求められます。
人事部に必要な働き方改革
業務に費やせる時間は無限大ではないため、限られた時間のなかでいかに効率を上げられるかということは、企業人にとって必要なスキルです。現代は、企業のために身を粉にして働く時代ではなく、さらに、2019年4月から、働き方改革関連法が施行されたことにより、企業は長時間勤務を是正することが義務となりました。
既存社員への人材開発推進に加えて、採用に関連する業務により多くの時間が必要となる人事部にこそ、働き方改革が急務です。働き方改革の対策として、人手を増やすことや一人ひとりの生産性を上げることなどには即効性がありますが、言うは易く行うは難し、であることは言わずもがなです。
それでは、人事部での働き方改革に何が有効なのでしょうか。それは、ITの活用です。業務で重要な人とのコミュニケーションには時間をかけるべきですが、それ以外の事務的作業などはITシステムを利用して効率化を図ることが重要になります。人事考課などの集計においても用紙で回収し人事部が入力するのではなく、人事考課システムに各社員が入力することで大幅な業務省略が実現できます。
採用試験には動画面接導入で効率化を
人事部で今後ますます重要となる採用業務においても改革が必要となります。従来の書類選考や筆記試験、面接といった業務をいかに効率的に行い、機会損失を防げるかがポイントとなります。それにはまず、自社で必要とする人物像を明確にしたうえで、必要とする資質や資格などを設定しておくことが大切です。応募者を増やすために、自社に興味を持ってもらえるような工夫をしておくことも必要です。
最近のトレンドにオンライン面接・動画面接などを活用した採用があります。これは、インターネットによる応募や試験に加えて、面接もインターネットを活用して行うものです。応募者が面接会場に向かうまでの交通費などの支出を抑えることが可能になり、さらに今まで以上に母集団を増やすことができます。同時に、地方での面接会の開催のための準備の必要がなくなるなど、採用にかかる時間を削減できる利点もあります。
まとめ
少子高齢化は企業の採用にも影響を及ぼしています。これからの採用では、いかに優秀な人材を確保できるかが重要となりますが、人事部の取り組みにも限界があります。動画面接などITを活用することで、応募者の負担を減らし、採用にかかるコストを削減しながら、優秀な人材確保の機会損失を防ぐことが大切です。
<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー
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