人事評価システムとは社員の人事評価を効率よく適正に行うためのシステムです。評価の過程が効率化されれば余計な時間やコストが削減できるだけでなく、適正に評価されたと感じた従業員は満足度が高まり、生産性にも大きく影響を与えていくでしょう。
今、企業の行く末に大きな影響を与える人事評価システムに、改めて注目が集まっています。
人事評価システムの機能とできること
人事評価システムは、社員の評価を一元的に管理すると同時にデータを分析できるメリットから、規模を問わずさまざまな企業で導入が進んでいます。ここでは、多くの人事評価システムに共通している4つの機能をご紹介します。
評価過程、評価結果の可視化
個々の社員の経歴や評価の進捗状況をシステム上で管理できるので、評価過程、評価結果を視覚的に素早く把握・共有できます。
人事評価とは、社員一人ひとりを新入社員時代から継続的に評価することです。すなわち、過去にどのような部署でどのような業務を担当し、そのときの評価がどのようなものだったかといったデータの蓄積が不可欠です。
評価システムでは、過去の評価結果もクリックひとつで簡単に確認できます。
評価シートの再現
紙やエクセルなどで運用していた評価シートをシステム上に再現できる機能を持っています。評価者が面談でメモした手書きの評価表や、部署ごとにエクセルなどで管理・運用していた目標管理シートなどを、人事評価シートに落とし込めば一括して再現ができるというわけです。
さまざまなデータを管理して評価シートが作成されるので、人事評価がしやすくなり、効率が格段に高まります。
紙やエクセルへの出力
評価結果をもとにフィードバック面談する際に、プリントアウトした紙でやりたい、というケースは多いと思われます。
システム内のデータを紙やエクセルへ出力することが可能です。
場所を選ばず評価ができる
人事評価をする場所も、社内の会議室や面談室以外の場所で行われるようになってきました。いつでもどこでも、タブレットやスマートフォンがあれば場所を選ばず人事評価を行うことが、当たり前になりつつあります。
人事評価システムを導入するメリット、効果
人事評価システムを活用すると企業がどう変わるのか、その効果についてみていきましょう。
評価にかかる時間の削減、運用の効率化
人事評価システムの導入を検討する企業の多くは、人事評価にかかる時間的コストに頭を悩ませています。エクセルファイルなどを用いた評価シートの作成、面談後の記入、回収、集計、ファイリングなど管理に相当する作業は意外と時間がかかるもので、会社の規模が大きくなればなるほどその負担は増していきます。
その解決策としてあげられるのが、人事評価システムの導入です。エクセルファイルの管理などに割いていた時間を削減できます。
評価の「質」の向上
紙やエクセルファイルなどで評価シートを作成している場合には、そのファイルの管理に追われ、本質的な評価やマネジメントを行うのが難しいという事実があります。
人事評価の基本は、データを分析し、人材育成や適材適所への配置に生かすことです。人事評価システムを導入すれば、ファイル管理に費やしていた時間を、評価結果に対するフィードバックといった本質的なことに使えるようになるでしょう。
離職率の低下
多くの人事担当者が頭を悩ませることの一つに「従業員の離職」という問題があります。離職の理由として「適正な人事評価をしてもらえなかった」という不満を挙げる人も多く、有能な人物ほど早めに見切りをつけてしまうという傾向も見受けられます。
評価システムによって、評価運用を効率化し、評価の質を上げ、満足度を向上させることで、離職率の低下につながります。
評価結果をマネジメントに活用できる
最適な人材を配置できるかどうかは、プロジェクトの成功の可否に直結します。
人事評価システムでは、一目で人事評価が確認できたり、条件を決めて希望する人材を絞り込むことが可能です。「必要な人材はどこにいる誰なのか」といった疑問も短時間でクリアにすることができます。人事はその資料をもとに配置を検討するだけなので、資料を準備する手間が大幅に削減できます。
人事評価システムの料金形態
料金形態は人事評価システムの提供形態によって大きく変わってきます。
オンプレミス型やパッケージ型は初期費用が高くなりますが、月額費用が安く抑えられる(もしくは無い)といった特徴があります。
一方、クラウド型は初期費用が安くなりますが、月額費用などのランニングコストがかかる点を覚えておきましょう。
初期費用と月額費用の両面から確認し、トータルでどのくらいコストがかかるのかを検討することが必要です。
人材獲得が困難な時代だからこそ人事評価システムが必要
人事評価システムによって得られるメリットは多岐に渡ります。単に人事担当者の業務効率化、負担軽減というだけでなく、従業員のモチベーションアップ、人材流出の防止、適材適所への配置など、企業の経営に大きく影響を及ぼすものばかりです。
深刻な人手不足が叫ばれている昨今、優秀な人材を新たに採用することは非常に困難で、頭を悩ませている人事担当者は多いことでしょう。そんな時代だからこそ、今いる従業員に目を向け、適切な人事評価によって生産性を高めることが必要なのではないでしょうか。
<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー
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