人事評価との違いにみるタレントマネジメントの課題

 2018.05.07  AJS株式会社

近年、日本企業が注目する「タレントマネジメント」。この手法には、どのような効果や特徴があるのでしょうか

タレントマネジメントの課題や人事評価(人事考課)との違いについてご紹介します。

タレントマネジメントとは

日本企業は、少子高齢化、急速なグローバル化、人材の流動化や働き方の多様化など、さまざまな要因が絡み合い、優秀な人材確保に困窮しています。この状況下、競争に打ち勝つ方法として、「タレントマネジメント」が注目されるようになりました。

近年では一部の従業員だけでなく、一人ひとりの能力や適性を把握し、組織横断的な適材適所の人事配置、能力開発、採用など、強い組織作りの基盤として活用されています。

タレントとは、才能や素質、技能を意味する言葉であり、タレントマネジメントは、従業員が持つタレントを把握、管理し、そのデータにより人材配置や人材開発、人材育成など、戦略的人事を行うことを意味します。欧米では主流となっており、特に人材流動性の高いアメリカでは、才能ある人材を発掘、定着させ、優れたリーダーとして育成するエリートの選抜手段、育成手段として活用されてきました。

近年では一部の従業員だけでなく、一人ひとりの能力や適性を把握し、組織横断的な適材適所の人事配置、能力開発、採用など、強い組織作りの基盤として活用されています。

『月刊人事マネジメント』事例掲載
「人事評価制度見直し」決断する前にやること

タレントマネジメントの課題

人材の持つ能力や経験を把握することは、迅速な人材配置等を実現し、スピード重視の世の中において有利なビジネス展開を可能とします。タレントマネジメントがそのメリットを発揮するためには、課題もあります。

タレントマネジメントに対する理解

労務管理が中心であった日本の人事管理からタレントマネジメントへとシフトするには、現在稼働している人事管理システムに新たな機能を拡張したり連携したりする方法、全てを包括したシステムに乗り換える方法などが考えられます。しかし、どちらにしても人的負担、時間、イニシャルコスト、ランニングコストがかかることを念頭に置かなければなりません。

クラウド型にすれば費用負担はある程度抑えられるにしても、今までの管理業務に活用すべき情報が追加されることで、その情報管理や更新には全社員、特に管理職の協力が必要となりますから、タレントマネジメントの有効性と導入目的への理解がなければ、人事戦略としての成功はありません。

人材データベースの構築と鮮度の維持

人事部門が持つ履歴書や労務の情報、現場によって把握される行動特性や能力、本人が仕事やプライベートで得た知識、経験など、業界や企業の特徴によって違いはあるものの、タレントマネジメントで管理すべき情報は多岐に渡ります。これらの情報を人材データベースとして一元管理し、活用するには、情報をいかに収集し、構築するかが鍵となります。

まず、組織におけるタレントマネジメントの目的を明確にし、必要な情報項目を洗い出した上で、その収集・精査の方法を検討、実施します。構築には項目別の閲覧権限の設定や、子会社の役職が本社組織のどの役職に当たるかなどの、階層の明確化も必要です。

ちなみに、情報収集・精査には、多くの拠点を持つ企業ほど人的負荷がかかると考えるべきでしょう。特に海外拠点の場合は、言語対応はもとより、国や業界によって個人情報の受け渡しにおける制約に違いがありますので、細心の注意が必要です。しかも、人材データベースは最新の状態を維持しなければ意味がありませんから、いかに新鮮な状態を維持するか、その仕組み作りは大きな課題と言えるでしょう。

人材データベースの構築と鮮度の維持

タレントマネジメントと人事評価の成り立ちの違い

成り立ちは違いますが、人材を重視し、個人に合わせた目標や機会を与えて育成し、そのリーダー創出のためのエリート選抜と育成が主な目的だったタレントマネジメントは、働き方の多様化や競争の激化を背景に、従業員一人ひとりの能力を把握し活用していく目的へと変化していきました。

一方、人事処遇の判断材料とされてきた人事評価も、年功序列から実力主義へのシフトなどを背景に、個々の目標設定とその達成を通して、全員が最大のパフォーマンスを発揮するための育成基盤へと変化していきました。能力を最大限活用する目的を持ったことで、両者には共通点が生まれていると言えるでしょう。

タレントマネジメントと人事評価の負荷の違い

上述の共通点からすれば、タレントマネジメントの導入も、人事評価の導入や見直しも、有効性が高いものであると言えます。ただし、タレントマネジメントは、人材データベースを基に全ての人事フローをつかさどる人事戦略であり、人事評価もその一部ですから、立ち位置の違いから、導入負荷はタレントマネジメントのほうが重いと考えられます。

タレントマネジメント実行に、稼働中のシステムの拡張や連携、新規導入などが発生することは前述しました。もし、労務管理、採用、教育などのシステムが独立して可動している場合、これらの機能の拡張や連携が困難な場合があります。それは、社員台帳の役割を果たしてきた労務管理システムや、採用・教育に特化したシステムが、タレントマネジメント対応を前提に作られているとは考えづらいためです。今までのシステムから、全てを包括したタレントマネジメントシステムに乗り換えるにしても、蓄積してきたデータを新たなシステムで使用するためのデータ移行には、多くの手間と時間がかかり、コストに反映されます。

全てがタレントマネジメントの軌道に乗るまでの間、二重、三重の管理、更新が発生する可能性もあり、その際の情報整合性には慎重な対応が求められます。人材不足を問題視する中で、これらの対応を現状の人事部門で乗り切ることができるのか、新たな要員を内部、外部から調達することができるのか、熟考が必要でしょう。

タレントマネジメントは人事戦略として非常に有効なものかもしれませんが、管理職を中心とした理解、導入における負荷への対応などの課題をクリアしなければなりません。企業規模や今後の事業展開、現状の問題など、企業が持つ背景によって導入すべきベストの方策は違いますから、タレントマネジメントのみに注目することなく、検討していくことが大切と言えるでしょう。

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