的確な人事異動が組織の活性化を促進させる

 2019.03.18  AJS株式会社

労働人口が減り、多様な働き方が生まれ、外国人の受け入れの拡大に迫られている現代の日本。そのような社会を企業が生き抜く為に、人事担当者は社会や働き方の変化に柔軟に対応していくことが求められます。

本コラムの前半では従来の日本の人事異動について、中盤では日本とアメリカの人事観の違いについて、後半では加速する社会の変化に応じて人事担当者には何が求められるのかをご紹介します。

人事異動とは

人事異動は企業における人材・組織マネジメントに欠かせない施策です。現在、日本企業の多くは組織を形成する基準が、「仕事」ではなく「人」であると認識しています。「人」は、仕事や社外での経験に伴って変化し続けます。従って、その時々に応じて組織の配置も変えていかなければ「人」と「仕事」のマッチングに不具合が生じ、非効率的な状態になります。それを解消する為に行われるのが「人事異動」です。

人事異動のプロセス

人事異動を、従業員および組織の成長を目的として活用していくには、異動理由となった「経営ニーズ」「人事評価」「育成計画」に関する情報の従業員へのフィードバックやオープンなコミュニケーションが伴うことが望ましいといえます。本人側からのニーズとギャップがあった場合には、そのギャップを埋めるためにしっかりとヒアリングを行うことが重要です。

適材適所に人を配置する

「適材適所」という言葉があるように、会社の財産である「人」は、同じ部署である程度経験を積むと能力やスキルが向上します。この能力・スキルを同じ部署で発揮し続けるのも一つの手ではありますが、人事異動によって新たな環境を提供し、さらなる成長を促すもの人事の大切な役割です。ただし「3年経ったから人事異動をやろう」「こちらの部署で人が足りないから補充しよう」という漠然とした意図で人事異動をしても「人」を適材適所に配することはできません。その「人」が営業向きなのか、広報向きなのか、技術向きなのかといった適正、あるいは足りない部分は何なのかを考慮して、意図を持って人事業務にあたる必要があります。

『月刊人事マネジメント』事例掲載
「人事評価制度見直し」決断する前にやること

日本とアメリカの人事観の違い

社会のグローバル化に伴い、組織の競争力強化が求められるようになった現在、従業員にとっての「キャリア開発」という視点も加味した企業の戦略的人的資源管理(Strategic Human Resource Management)が普及しました。つまり、人事活動は、企業・従業員双方にとって重要なものとなってきているのです。経営学者の高木晴夫氏は、自著『組織能力のハイブリッド戦略』にて、先述した日本企業に多くある、組織を形成する基準を「人」であるとする構造を「人ベース」型と名づけています。それと対になるのが「仕事ベース」型のアメリカ型企業です。

「仕事ベース」型とは、組織を形成するときの基準として「仕事」に重点を置くタイプの企業を指しています。こうした企業では、人の採用に先立って、仕事そのものはもちろんのこと、仕事に要求される能力要件や報酬条件も採用前に定義されていなければなりません。つまり、トップダウンで仕事が定義され、その仕事に合わせて人が採用されています。

日本では、ある部署の業績が悪くなり、その部署を閉鎖することになった場合、その部署の社員は他の部署へ移動するのが一般的です。一方、アメリカではその部署に所属する社員全員が解雇となるのが普通です。「人」に仕事がつく日本では、仕事がなくなった場合でも、会社側は「人」に仕事をつけているので、別の部署での仕事を与えます。ところが、「仕事」に人がつくアメリカでは、その仕事がなくなれば、その仕事についている人も手放してしまうのです。このような事情からも、アメリカ社会におけるキャリアアップは、「転職」によって「仕事」に人がついていくことを大前提に考えなければなりません。つまり、常により高いレベルの仕事を見つけ、転職し続けることが重要なのです。

時代の変化に伴って高度経済成長期に採用されていた年功序列型の賃金制度は現代の日本に適合しなくなりました。日本の人口減少とグローバル化が加速すると、上記のようなアメリカ型の人材が日本に入ってくることは勿論、アメリカだけでなくヨーロッパ、アジア、アフリカなど、様々な国籍の人が日本に訪れ、日本企業で働くことは今後も更に加速していくでしょう。

このような社会において、人事担当者は自社にとって都合のよい採用を行うのではなく、各個人のライフスタイルが尊重できるよう、残業制限や育児・介護のための勤務時間調整、自宅勤務、副業前提など、就業形態を整えた上での採用活動を行うことが求められます。

新たなソリューションで複雑化する人事評価の負担を軽減

現代の企業経営は、先述したように変化する社会への対応が求められています。人事部にも、『社員情報を管理し、間違いのない事務処理を遂行すること』が命題の部署ではなく、日本だけでなく海外の人材も含めた『人』という経営資源を最大限に活用し、より経営的な視点を持った戦略的部署になることが求められているといえるでしょう。

これに伴い、勤務時間、年齢、国籍、能力等、「人」に関わるあらゆる要素が多様化し、従来の書類やエクセルベースで情報管理するのは困難になることが考えられます。人事担当者は人員の把握管理といった事務的な仕事がメインではなく、多様化した「人」を見ることが、仕事のメインへとシフトしていくでしょう。その為に、人事管理を従来のエクセルベースのデータ管理ではなく、スキル・特性・性格などのより詳しい情報を把握できるソリューションを活用するのも一つの手かもしれません。ソリューションの活用により、従来の事務的な仕事が削減され、複雑化した社内の問題解決に割く時間がとれるようになるでしょう。

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