リテンションマネジメントとは?人手不足の時代に人材の流出を防ぐ

 2019.01.21  AJS株式会社

最近、人材流出を防ぐ施策として、リテンションマネジメントに注目が集まっています。

リテンションマネジメントとは何か、注目される背景やメリット、施策例をご紹介します。

リテンションマネジメントとは

リテンションマネジメントとは何か

リテンション(維持や保持)とマネジメントを合わせた『リテンションマネジメント』は、端的に言うと、人材確保の施策を意味する人材マネジメント用語です。

優秀な人材が流出することなく、長期にわたって活躍できるよう様々な施策を行い、企業と社員間の良好な関係性を築き、持続していくことを意味します。

リテンションマネジメントが必要とされる理由・背景

高度経済成長期にマッチした年功序列の処遇や終身雇用が終焉を迎え、仕事環境や雇用条件が合わなければ転職するという流れが一般的な時代となりました。

雇用の流動化は、企業にとって優秀な人材が流出してしまう恐れを増加させ、採用費の増加にとどまらない様々なリスクを伴います。

リテンションマネジメントは、新たな人材採用をするだけでは解決しない、人材流出の防止策として注目されているのです。

リテンションマネジメントのメリット・デメリット

メリット

優秀な人材が流出することなく長期的に活躍することは、企業にとって何よりのメリットでしょう。

リテンションマネジメントは就業満足度が高くなる取り組みですので、人材流出を防ぐだけでなく、優秀な人材の獲得にも繋がります。

また、雇用条件や就業環境の改善によって社員のストレスを排除しますから、パフォーマンスの底上げが期待でき、生産性向上や新たな事業展開に繋がるかも知れません。

社員にとっても、就業環境に満足するだけでなく、自身のキャリア形成を図れるというメリットがあります。 リテンションマネジメントが効果的に行われていれば、企業・社員双方にメリットがあり、良好な関係が築けると考えられます。

デメリット

自社に合ったリテンションマネジメントを実施するためには、離職理由の統計や就業満足度調査などで現状を把握する必要がありますし、そのためには時間、労力、費用もかかります。

継続的な実施・管理も負担に感じるかも知れません。

『月刊人事マネジメント』事例掲載
「人事評価制度見直し」決断する前にやること

ただし、人材が流出する現実に向かい合わなければ、より多くの時間、労力、費用をかけて採用や育成をすることになりかねませんから、どちらが得策であるか、検証する必要があるでしょう。

リテンションマネジメントの具体的な施策

では、リテンションマネジメントの施策にはどのようなものがあるのでしょうか。

社員に権限と責任を与え、適切な評価をする

仕事に対する取り組み方や実績に対し、適切な評価を受け、その評価に見合った権限と責任を与えられることは、会社への貢献度を実感できるモチベーションアップの重要な要素です。

権限や責任というと難しく感じますが、要は、正しく評価され、評価に見合った仕事、成長できる仕事を任されている実感が、社員に満足感を与えるのです。

この実施のためには、自社に合った公平性・透明性の高い人事評価運用という土台が必要となります。

適切な評価・給与体系を構築する

離職防止のために行われる安易な賃上げは、人件費増による圧迫と、より高収入を得られる会社への人材流出の恐れを生み出してしまいます。

給与・賞与は、社員にとって労働の対価であると同時に、会社への貢献度を測る重要な指針でもありますから、適切な評価に連動した給与体系の構築が求められます。

社員が納得できる給与体系の構築のためにも、公平性・透明性の高い人事評価は必須と言えるでしょう。

異動や能力UPの機会を設けるなど柔軟な職場環境を整える

評価や報酬以外に、従業員 社員の成長願望を受けとめ、そのチャンスを提供することも、リテンションマネジメントとして行われる施策です。

職種や役職別の教育だけでなく、定期的な異動による新たなスキル習得や、新プロジェクトに挑戦できる機会の提供など、柔軟なキャリアパスの明示が、社員のモチベーションを向上させます。

成長願望を持ち、期待値の高い人材が流出しないために、自社でのキャリアアップをイメージできる職場環境が求められるのです。

社員同士のコミュニケーションが取りやすい風通しの良い環境にする

風通しの良い環境作りもリテンションマネジメントとして有効です。

社内部活動を促進し補助を出す、メンター制度を導入して部門外の先輩・後輩関係を作り、相談ルートを複数確保させる、他部門の仕事を理解・刺激し合う異部門交流会の実施など、企業の抱える課題によって様々な方法が考えられます。

良好なコミュニケーション空間を作り出すことで、就業満足度を上げるだけでなく、それまで成し得なかった部門横断での協力体制や、業務の効率化を図ることも期待できます。

ちなみに、コミュニケーションは社員間だけでなく、経営層も含めることが理想的です。

会社の現状やビジョンを共有する機会を持つことで、社員一人ひとりが経営意識を持つことができれば、離職を防ぐだけでなく、強い組織作りにも繋がるでしょう。

ワークライフバランスの実現

出産、育児、介護などの理由はもちろん、自由な働き方を推奨できる勤務体制の整備も、リテンションマネジメントとして実施されます。

在宅ワークやフレックスタイム、残業時間削減の徹底、時間単位年休制度(有給休暇を時間単位で取得できる制度)など、事業内容によって取り組めるものは異なりますが、社員が不満に感じる勤務状況を改善する取り組みは、ダイレクトに離職防止に繋がる施策です。

ただし、改善した勤務体制を活用する社員と、協力する社員の相互理解が必要ですから、定期的に状況を把握する必要があります。

いくつか紹介しましたが、これらの施策が、どの企業でも適用できるとは限りません。

リテンションマネジメントで重要なのは、独自の問題点を見つけ出し、それを解決する施策を講じることですから、まずは自社の状況を様々な視点から把握する必要があるでしょう。

現状把握をスタート地点として施策を講じ、細やかな見直しや継続的な管理をすることで、リテンションマネジメントがより効果的に働くと考えられます。

少子高齢化や働く人の意識の変化により、雇用の流動化は加速しています。

優秀な社員に長く活躍してもらうには、自社が社員にとって魅力的な就業先であることはもちろん、ともに成長していける関係性を築いていく必要があります。

リテンションマネジメントは、早期に取り組むべき人事戦略と言えるでしょう。

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