人事評価制度を人材育成につなげるために必要なこと

 2018.04.23  AJS株式会社

処遇の材料と見られやすい人事評価(人事考課)制度ですが、本来の目的は人材育成と企業の業績向上であり、二つの目的が支えあうことで、貢献度に応じた処遇を与えることが可能となります。

今回は、目的のひとつである「人材育成」のために人事評価制度をどのように活用すべきか、そのポイントをご紹介します。

人事評価制度は人材育成の基盤と考える

配分された仕事をこなす姿と成果を見るだけの評価方法では、意欲の高い一部の社員やスタッフのみが成長し、組織的に求める人材育成にはつながりません。人事評価が人材育成の基盤として機能するためには、何が必要なのでしょうか。

社員個々に応じた目標設定

具体的な目標に向かって行動し、その行動を通して知識・経験を養うことは、成長につながります。人事評価においても、「経営方針等に沿った、会社への貢献度を感じる目標」「能力に見合ったチャレンジ精神を育む目標」「本人が理想とする、キャリアアップのステップとなる目標」などを設定し、社員の能力を引き出すことが可能です。

理解・納得を得る評価方法

「自分の仕事の、どこが評価されたのだろう」「あの上司だから、評価が低いのでは……」どこが評価されたのか曖昧であったり、自己評価や課題とのギャップを感じたりする評価結果では、部下(被評価者)が次の行動に足踏みをしてしまう恐れがあります。

理解・納得が得られる評価方法でなければ、人材の定着率も不安定です。人材育成には、明確な目標達成基準と不公平感のない評価方法が必須と言えるでしょう。

『月刊人事マネジメント』事例掲載
「人事評価制度見直し」決断する前にやること

高いモチベーションを維持するコミュニケーションとフォロー

仕事への高いモチベーションは、本人の成長だけでなく、社内の雰囲気や業績なども上向きにする好材料です。社員のモチベーションの維持・向上には、目標設定や中間面談におけるコミュニケーション、適切なタイミングでのバックアップやフォローが欠かせません。

人材育成には評価者の評価実施スキルの向上が必要

人事評価制度を人材育成の基盤と考えると、具体的で明確な基準のある目標設定や、信頼できる公平な評価であること、士気を高めるコミュニケーションの必要性などが浮かび上がってきます。

これらのキーパーソンとなるのが「評価者」。

評価者には、高い評価実施スキルが求められます。たとえば、以下の3つのスキルが必須となります。

人事評価制度への理解

評価者には、人事評価制度に対する、深い理解が必要です。人事評価制度の目的や重要性、特に人事評価制度を育成の基盤と考える場合は、評価業務の全てが育成につながっていくことを自覚し、評価者の責任を理解しなければなりません。評価者が「評価は賞与を決めるための材料」「時間のかかる余計な仕事」と思っていれば、効果的な運用は見込めません。

評価スキル

明確な達成基準を持つ目標の設定方法、評価エラーに陥らず、他の評価者との目線を合わせる意識、部下が納得し、モチベーションをアップする評価の記載方法など、評価者にはさまざまな評価スキルが求められます。個人の学習や経験で得られるものもありますが、評価者研修への参加など、常に他評価者と評価目線を合わせる努力や、評価者としての自己の力量を知る機会も必要となります。

上司としてのコミュニケーションスキル

最適な目標設定には部下の能力・適性への把握が必要ですし、目標達成の足掛かりになるフォローや、大きな失敗とならないための軌道修正には、タイミングが大切です。また、部下のキャリアアップ思考の方向性について理解がなければ、フィードバック面談において、モチベーションを維持・向上させることができません。

これらの実現には、信頼できる上司としてのコミュニケーションスキルが求められます。行動を見守るだけでは不明なことも多々ありますし、自身がプレイングマネージャー化していれば見守る時間も限られますから、声掛けやミーティング実施などのアクションは当然のこと。加えて最も意識すべきは、「自身がコミュニケーションを取りたい上司であるか」という視点です。信頼のない上司に対して、業務の問題を相談し、キャリアアップについての理想を明かす部下は皆無です。普段からの仕事に対する姿勢や仕事を通したやりとりが、部下との関係を左右します。コミュニケーションスキルは、“上司力”を問われる重要スキルと捉える必要があるでしょう。

人事評価制度を人材育成につなげるために押さえるべきポイントや、そのキーパーソンが評価者であることをご紹介しました。年功序列から、いわゆる実力主義にシフトした昨今、「年下の上司、年上の部下」という関係も多く発生し、評価者に求められるスキルは高難度となっています。社内で研鑽を積むだけでは困難な壁も多くありますから、評価者スキルの向上には、自社に合ったさまざまな方策を検討する必要があるでしょう。

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