人事評価で効果発揮のレーダーチャート 活用方法や注意点について解説

 2020.11.27  AJS株式会社

レーダーチャートを使って人事評価を視覚的に表現する手法があります。単なる数値の羅列にとどまらず図表の形を取って表すことで、直感的な理解を促すことが可能になり、人事評価制度のクオリティーを高める一助にもなります。この記事では人事評価でレーダーチャートを使う具体的なメリットや、最大限に活用するための方法について詳しく解説します。

人事評価で効果を発揮するレーダーチャート

レーダーチャートとは複数の項目についてその数値を、中心から放射状に伸ばした数値軸によって表現する形式のグラフです。各項目の評価は中心点から軸の頂点までの距離によって示され、各項目の評価点を結ぶと多角形ができあがります。グラフの多角形の大きさやバランス、ゆがみによって、評価の全体像や各評価のバランスを直感的に把握できることが特徴です。

商品や店舗について各項目の数値を総合的に評価する場合にレーダーチャートがよく使われます。視覚に訴えることで数字の羅列で表すより格段に印象に残りやすく、一覧性にも優れていることなどから広く採用されています。なお、レーダーチャートはExcelの機能を使って簡単に作成できます。

人事評価におけるレーダーチャートのメリット

それでは人事評価の提示方法にレーダーチャートを利用する具体的なメリットを一つずつ見ていきましょう。

活躍する社員のスキル傾向を把握し、人材育成に活用できる

レーダーチャートを使って人事評価をグラフ化することで、個々の従業員のスキルを職場で求められる水準と比較してどのような状況であるかを視覚的に把握しやすくなります。また、グラフが示す多角形のゆがみ具合からスキル全体のバランスを直感的に読み取ることができます。優れている部分と努力が必要なスキルを視覚的に表現できるため、どのようなスキルのトレーニングを行えば効果的であるかなどの予測もつきやすくなります。

評価グラフを重ね合わせることでメンバー間の比較を容易に行うことができ、部門をリードしている部分や業績のボトルネックになっている要素の把握もしやすくなるという利点があり、人事異動や新規採用などの形でテコ入れを行う部分の判断もしやすくなると言えます。

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評価項目の可視化で社員自身の能力開発モチベーションが高まる

評価項目や評価の基準が不明瞭な場合、評価対象者が自分の評価について納得することができず不満を抱く原因になることもあります。評価項目や基準となる数値をレーダーチャートの形で視覚化することで、評価の全容が把握しやすくなり人事評価への不満を予防する一助とすることもできます。

また、企業や部門が求めるスキルについて可視化されることで、評価を上げるためには自分のどのスキルを強化すべきかを個々の従業員が理解しやすくなるという点も見逃せません。自分のスキルのうち評価されているものと、足りないものを自覚し、自分に求められているものが何であるかを把握しやすくなることから、スキルアップに対する意欲が向上することも期待できます。レーダーチャートを使って人事評価を視覚的に表すことは、自主的なスキルアップをうながすためのよい指針にもなるのです。

評価者と被評価者の人事評価のコミュニケーションが円滑になる

レーダーチャートによる人事評価は、人事面談の際などに評価者と評価対象者間のコミュニケーション促進の材料としても役立てることができます。視覚的に分かりやすいチャートを使って評価の内容や意図が対象者に正確に伝われば、円滑なコミュニケーションを育くむことにつながり、スキルアップを目指す上で必要なアフターフォローなどもうまくいく可能性が高まるといえます。

人事評価のレーダーチャートの活用方法

人事評価をレーダーチャートの形で提示する手法にはこれだけのメリットがあります。それでは、このメリットを最大限引き出すために注意しておきたい点にはどのようなものがあるでしょうか。ここでは活用のポイントを紹介します。

部門ごとに作成する

部門ごとに求められる役割やスキルが異なることは言うまでもありませんので、人事評価で設定する項目も部門ごとに分けて設定することが大前提です。設定項目の内容によって自身の所属する部門において求められているスキルの種類や、評価される成果の内容や程度、目標達成度などが明確になります。人事評価項目を従業員に認識してもらい、納得してもらうことは組織の生産性向上のために欠かせない要素ですから、項目の設定は細心の注意を払って入念に行いましょう。

レーダーチャートの評価は社員本人、上司、部門長で実施

レーダーチャートを使用する場合でも、人事評価自体は対象者本人に加え、1次評価を行う直属上司、2次評価を行う部門長などそれぞれ客観的な視点で評価を行うことが大切です。この時、部門で求められるスキルの平均値データも併せてレーダーチャートに記載し、個々の従業員が受けた評価値と比較できるようにすることが望ましいでしょう。部門ごとに求められるスキルと自分のスキルの差異を視覚的に把握できるようにすれば、スキル向上を目指す意欲も生まれやすくなるでしょう。

定期的な面談によりフォローアップ

評価者である上司や部門長と評価対象者の両方がレーダーチャートによってスキルの状況を把握し理解したら、次はスキルの状況に応じて教育や研修などを行います。定期的な面談を行ってスキルアップの進捗状況をフォローアップすることも大切です。これらのきめ細かい対応が、部門や企業全体のスキルを底上げすることにもつながります。

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人事評価のレーダーチャートの注意点

チャートの作成で特に気を配っておきたいポイントとして、評価項目の並べ方でチャートの形が変化し、視覚的に受ける印象が大きく異なるという点があります。

類似する項目を隣り合わせて並べることで、その従業員はどういった分野で優れていて、努力が必要な分野は何かをより把握しやすくなります。チャートを見る人に把握してもらいたい内容を考慮し、見る人が理解しやすいような項目の配置になるように心掛けましょう。

まとめ

人事評価の提示でレーダーチャートを使うことで、企業や部門が求めるスキルの達成度を視覚的に提示することができます。適切な評価項目を採用した上で、見やすいレーダーチャートを活用し、評価者と評価対象者すべてが理解しやすく活用しやすい人事評価制度の運用を目指しましょう。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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