人事評価制度構築でコンサルティングを活用するメリットとは

 2021.01.18  AJS株式会社

人事評価制度を構築するにあたり、何から手を付ければいいのか悩んでしまう企業もあるかもしれません。これから人事評価制度を導入しようと考えているのなら、コンサルティングを活用してみてはいかがでしょうか。今回は人事評価制度の基礎知識や、コンサルを活用するメリットをお伝えします。

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人事評価制度構築で必要な検討事項とは

人事評価制度構築にあたっては、評価対象項目の策定や等級、報酬基準の設定などが必要です。まずは、制度構築に必要な検討事項を見ていきましょう。

評価対象項目の策定

まずすべきことは、何を目的に人事評価制度を構築するかを考えることです。人材育成や報酬の決定、優れた人材の登用など、企業によって目指すところはさまざまですが、それによって評価制度の方針が変わってきます。

目的が明確になれば、次は評価項目を決めます。代表的なものとしては、仕事の成果を評価する成果評価や、スキルや資格の有無を評価する能力評価、仕事への取り組み方を評価する情意評価などが挙げられます。

設定においては、現状で組織が抱えている課題や重視すべきポイントにフォーカスしなくてはなりません。解決したい課題や目的が明確なら、何を評価すればいいのかも見えてくるでしょう。

「等級」の設定

従業員のスキルや経験はさまざまなため、一律の評価基準だと不公平になったり、人事評価の目的から逸れたりすることが考えられます。正しく評価を行うためには、評価対象群となる等級を作らなくてはなりません。つまり、ランクを作って従業員をそれに割り振るのです。

等級は、能力で区分する職能等級や、役割を基準とする職務等級が代表的です。後者は近年ではもう少し役割を細分化・柔軟化させ、ミッション・グレードなどとも呼ばれることもあります。

等級の管理は手間と時間がかかります。しかし所属や役職などを紐づけられる評価管理システムを導入すれば、効率よく管理ができるでしょう。

報酬基準の設定

人事評価制度は、従業員の育成や人材の採用などに活用されますが、報酬制度と一体で運用されるケースがほとんどです。そのため、制度の構築にあたっては、報酬の基準についても考えなくてはなりません。

また、企業が従業員に対し報酬として支払える報酬原資には限りがあります。評価と報酬を連動させれば、支払う金額にも影響を及ぼしますが、想定外の大幅な変動が起きないかどうかについて事前のシミュレーションで確認しなくてはなりません。ここを疎かにすると、従業員に支払うお金が足りなくなる、といったことが起きる恐れがあります。

さまざまな人事評価制度

人事評価制度と一口にいっても、さまざまな制度が存在します。代表的なものには、目標管理制度や360度評価制度、OKRなどが挙げられますが、それぞれに特徴やメリット、デメリットがあります。制度の導入前に違いを理解しておきましょう。

目標管理制度

経営思想家として知られる、ピーター・ドラッカーが提唱した制度です。会社にとっても有益となる業務上での目標を、従業員一人ひとりに設定させ、上司がサポートしながら達成を目指す制度です。

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個人の目標と、組織が目指すものがリンクするのが特徴で、従業員は目標達成を目指す過程で試行錯誤や創意工夫をするため、自己成長できるメリットがあります。また目標とその結果が明確なため、評価がしやすいということもメリットです。

いっぽうで、従業員は目標に掲げている業務にだけ力を入れてしまい、それ以外の業務は手を抜いてしまったり、評価者のレベルや評価のバラつきが出てしまう、といったデメリットも考えられます。また、最近増えているフラット型の組織体系では、個々の目標達成よりチームへの貢献度が重要視されるため、組織の環境によってはこの制度はそぐわない場合もあるでしょう。

360度評価制度

従来のような、上司や人事担当者のみによる評価では、正当な評価が受けられないこともありました。360度評価制度は、さまざまな立場の複数人が1人の従業員に対して評価を行うため、客観的な評価ができるメリットがあります。

この制度では、上司や人事担当者のみならず、部下や同僚、取引先、顧客の意見が評価に反されることもあります。その結果、今まで誰の目にも留まらなかった長所やスキルが評価される可能性があります。

ただ、身近な同僚や部下が評価に関わるため、社内における人間関係に変化をもたらす可能性があります。また、一般社員が評価の作業が加わる、人事の評価業務のタスクが増えるといった点に注意が必要です。

OKR

Objectives and Key Resultsの頭文字をとって略したもので、アメリカ、インテル社で誕生し、GoogleやFacebookなどの大企業が取り入れていることで注目を集めています。業務における明確な優先順位を設定し、従業員全員で一定のペースを維持しながら進めていくのが特徴です。

組織全体で同じ方向へ進むため、従業員一人ひとりが貢献度を実現しやすく、エンゲージメント向上が期待できます。また、従来の管理方法と異なり、高頻度で目標の再設定や再評価を行うことも特徴といえるでしょう。そのため、目標設定があまりにも高すぎると、従業員のモチベーションが低下する恐れがあります。また目標の修正や評価の頻度の高さが、ストレスに繋がることも考えられます。

人事評価制度設計のコンサル活用メリット

人事評価制度の導入や構築にあたり、コンサルティングの活用を検討する企業は少なくありません。しかし、外部のコンサルティングを利用する場合は、ある程度の費用が必要です。コンサル活用により具体的にどのようなメリットが得られるのか、費用相場はどのぐらいか、また、コンサルを利用せず自前で導入・構築する場合、どのような点に注意したらよいのかを、きちんと理解しておきましょう。コンサルを活用する主なメリットは以下の2点です。

「社外の知識・経験」を活用できる

外部のコンサルを活用することで、これまで思いもつかなかった改善策を提案してもらえる可能性があります。プロのコンサルならではの視点で見てくれ、課題解決に向けて自社だけでは考えつかなかった感性や価値観を共有できます。

そのため、これまで社内で蓄積・形成できなかった新たなノウハウの吸収や、気が付かなかった自社の強みや弱みなども捉えることができるでしょう。また、業界における立ち位置などを客観的に把握することにも繋がります。

成功ノウハウを得られる

組織づくりや人事業務の改善を自社のみで行った場合、どうしても自社の固定概念に縛られた狭い視野で進めてしまう場合があり、ベストな解決策を見いだせないこともあります。

プロのコンサルであれば、これまでにさまざまな企業を成功に導いてきているため、新たな視点やプロセスの進行中に失敗しない提案もしてくれるでしょう。また、間違えた方向に行かないように指南してくれるため、自社だけで行うより、迅速かつスムーズに人事評価制度を導入・運用できるかもしれません。

人事評価制度構築のコンサル費用はいくら?

外部のコンサルに依頼する費用には、幅があります。会社が抱えている問題、会社規模、作業時間や担当者の人数、かかる期間によっても費用は大きく変わります。期間は、会社の規模にもよりますが、だいたい構築から運用まで半年~1年ほどみておく必要があるでしょう。

費用は、たとえば100名以下の従業員規模の場合、担当者が2名で期間が半年間の構築費用は120~240万円ほどというところがあれば、250~500万円ほどというところもあります。中には300万円以上からという条件を設定しているところもあります。どこに依頼するか迷った場合は、人事評価制度構築に関する実績はどの程度あるか、得意分野や強みは何か、などを見極める必要があります。

プロジェクトをスムーズに進めるためには、評価制度の構築によってどんな課題を解決したいのかを事前にまとめておくことが大事です。それによって評価制度構築の目的を明確に伝えられるため、コンサル会社を利用する費用対効果はさらに高まるでしょう。

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自社で人事評価制度を構築する際の注意点

費用を抑えたい場合は自社で構築する手もあります。その場合には、どのような手順でどんな点に注意すればいいのでしょうか?

社内ヒアリングで問題点を抽出

自社で評価制度を構築するには、プロジェクトを立ち上げてチームメンバーを決めます。従業員や管理者にヒアリングを行い、現状の問題点を洗い出していきます。評価制度は経営者にとっても従業員ひとりひとりにとってもわかりやすいものでなくてはいけません。誰もが納得できる評価基準を心がける必要があります。また、自社の経営理念や理想的な人材にマッチしたものでなくてはなりません。その点で最初のヒアリングは特に重要です。評価制度の運用を成功させるには、ヒアリングの段階で現状の問題点を十分にあぶり出して課題を明確化し、何を評価するかを決めていきます。

評価方法と評価項目の決定

次に具体的な評価制度、評価項目を決めていきます。どのような評価制度を選択するかは、それぞれの評価制度のメリットやデメリットだけでなく、会社の置かれている環境や企業文化、解決したい課題によっても変わるでしょう。評価を賃金や昇進と連動させるのか、切り離すかなどの決定も重要です。評価項目は、職種や等級、経験年数によって調整する必要があります。数値で成果が測りやすい営業職と、数値では測りにくい人事、総務職などでは評価項目のウェイトを変える必要があるでしょう。

評価シミュレーションと運用

導入する評価制度、評価項目を決定した後は、実際に評価シミュレーションを行い、その評価制度が機能するかどうかを確認します。
運用にあたっては、社内全体で新しい評価制度の内容を共有し、フォローを行います。管理者が忙しさを理由に被評価者との面談を行っていない、従業員が評価制度の中身をよく理解していない、なぜ評価制度が必要なのか、その目的を全員が共有していないといった場合は形骸化の要因となるため、対策が必要です。うまく軌道に乗るまでは、細やかなチェック・管理を行います。

コンサル活用と自社構築 どちらを選択すべき?

評価制度の構築・導入にコンサルを活用するか自社で賄うかは、一長一短です。コストパフォーマンスを考える際は、コンサル会社が提示された作業人数、作業時間、かかる期間の費用と同じ費用で、同品質以上の構築がどのぐらいの期間と従業員数でできるかを考えてみましょう。検討する際は、人事制度構築の未経験者と、様々な会社の評価制度構築経験を持つプロとでは知識やノウハウの面で差があることも加味する必要があります。

費用はかかったとしても、プロの目線で自分たちの気が付かない点を指摘してくれたり、失敗しないような制度導入を提案・軌道修正をしてくれたりするのが、コンサル活用のメリットです。

いっぽう、自社で構築すると費用を抑えられ、導入スケジュールも余裕を持って組み立てられます。ただし、運用がうまく行くように常に注視し、細やかな配慮を行う必要があるでしょう。また、プロジェクトメンバーには長期に渡って相当な負荷がかかるのは否めません。評価制度は一度作成したらそれで終わりというわけではありません。従業員が増え、組織体制や世の中の変化に伴って見直す必要が出てくることも考えられます。

まとめ

人事評価制度の導入や構築にあたり、外部のコンサルを活用するのにはいくつものメリットがあります。新たな視点やアイディアを投入しながら、スピーディかつ確実な導入を望むのなら、プロのコンサルの活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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