インテグリティとは?意味や人材育成上のメリットを解説

 2021.06.30  AJS株式会社

近年、組織のあり方やマネジメントの面から、「インテグリティ」という概念が注目を集めています。インテグリティは組織のマネジメント向上にもつながる、多くの企業にとってニーズの高い素養であると言われます。そこで本記事では、インテグリティの概念やメリット、役職別に持つべきインテグリティについて詳しく解説します。

人事におけるインテグリティとは

インテグリティ(Integrity)とは元々、「誠実さ」、「真摯さ」、「公正さ」など、個人の内面的な倫理規範の高さを意味する言葉です。インテグリティは組織を率いるリーダーや管理職などのマネジメント職に求められる最重要の資質として、ピーター・ドラッカーによって1950年代に主張されました。今では欧米を中心に経営理念や企業倫理などに関わるビジネス用語として定着しています。

たとえば人事採用においては、その人の知性や経歴、資格といった能力に関するところに注意が向きがちですが、倫理観の欠けた人物を雇用することは、企業にとって思わぬリスクにもつながります。何か問題が起こった際の被害規模の大きさは、むしろ有能な人物であるほど大きなものであるかもしれません。

いくら社内規則などを強化し細目化しようとも、従業員の行動を何から何まで統制するのは現実的ではありません。そこではあくまでも、従業員それぞれの心持ちが重要になってくるのです。そのため、企業の人事部門においては、インテグリティの優れた人物を雇用することや、管理職も含めた社員のインテグリティを成長させるような取り組みが求められます。

インテグリティが重要視される背景

インテグリティがこれほど重要視されるのは、あらゆる意味で組織の腐敗を防ぐ上でインテグリティが必要だと考えられるからです。たとえば、管理職の態度が悪かったり、もしくは頼りなかったり、人事評価が適切ではなかったり、就業態度に問題があったりした場合、それを見た部下は組織への忠誠心や仕事へのやる気を失ってしまうことでしょう。

また、部下側にインテグリティが欠けている場合でも、上司が見ていないときには仕事をサボったり、怒られるのが嫌で業務上のミスを隠したりするような事態も起こるかもしれません。あるいは近年ニュースで目にするようなSNSへの不適切投稿なども、根本的にはインテグリティの欠如が招いた結果といえるでしょう。

情報化社会のいま、企業や社員の問題行動はあっという間に世間に拡散されてしまいます。そして、倫理をないがしろにした企業や従業員の行動は、その後のブランドイメージに消えがたい汚点をつけ、組織の腐敗を招くことにもなるでしょう。こうした事態を防ぐためには、インテグリティを企業の構成員全員が持っていることが大事です。

インテグリティとコンプライアンスの違い

インテグリティと混同されがちな概念として「コンプライアンス」という言葉があります。厳密にはこの2つはニュアンスの異なる概念です。

コンプライアンスが「法令」や「社会規範」の遵守といった外的な規則を守ることにベクトルが向いているのに対して、インテグリティは自分がきちんと正しく誠実であるか、自分自身の内面に反省の視線を向けるようなベクトルを持った概念です。もちろん、この反省の中には、「コンプライアンスを自分や自社が守れているか」という視点も含まれます。

コンプライアンスを守ることが大事なのは間違いありません。しかし、たとえばコンプライアンスを守る動機が、「違反すると社会的制裁を受けるから」というような受動的なものであった場合、「外部にバレる恐れがなかったら何をしてもいいのか」、「法令で禁止されていなければ不正をしてもいいのか」といった疑念が生じます。

つまり、単にうわべだけでコンプライアンスを守るのではなく、コンプライアンスの「精神」を主体的に持つためには、各個人の心に根差したインテグリティが重要なのです。いわばインテグリティとは、いかなる場合にもブレない倫理的な芯を自分の中に持つということです。

インテグリティを持った人材を育成するメリット

インテグリティを持った人材を雇用・育成することで企業はどのようなメリットを得ることができるのでしょうか。以下では、インテグリティが企業にもたらすメリットについて、3つのポイントに分けてご紹介します。

他人視点に立って業務が行える

インテグリティを身に付けた人は、自分が適切に振舞えているか、客観的に自己反省する視点を持ちます。そのため、普段の業務においても、世間やクライアント、ユーザーに対して自分の振る舞いが不快感を与えないように気をつけることができるでしょう。感じの悪い企業とは誰しも関わりたくはないものです。しかし、人事担当者が印象の良い人物であれば、就職希望者が増えることも期待できますし、誠実で真摯なふるまいをしている営業担当者であれば、外部との取引も円滑に進み、良好な関係下で継続しやすくなるでしょう。

もちろん、こうした立ち振る舞いは周囲の同僚との関係においても同様に大切です。インテグリティの高い人材で構成された職場は、良好な人間関係のもとで円滑な業務運営が可能でしょう。

公益性を重視するようになる

企業の、特に管理職が高いインテグリティを備えていた場合、経営方針として社会的責任を果たしながら、公益性を重視するという誠実な経営を行うことができるでしょう。もちろん、企業は営利団体として利潤追求することも重要です。しかし、行き過ぎた資本主義的競争は従業員への過度の負担を生み、職場の雰囲気の悪化や、不正の原因にもなりえます。インテグリティを持ち、公益性を重視した全体最適な視点を心がけることで、競合企業や業界の垣根を超えた協力関係を育み、結果として互恵的な成長を生むこともあります。それは企業のブランドイメージの向上にもつながり、社会から高い評価を得ることにもつながるでしょう。

主体的な意見を持つようになる

先にも説明したように、インテグリティは外から押し付けられた規則ではなく、個人の内面に根差した倫理観です。そのため、インテグリティを育むことは従業員の主体性を向上させることにもつながります。

重要なのは、組織として何を大事にしていきたいのか大きな理念を共有しながら、インテグリティに基づくお互いの価値観を尊重し、理解し合うことです。インテグリティを高めることは、各個人の責任感や意思決定の質も高めるため、組織成長につながります。

役職別に持つべきインテグリティ

企業組織には様々な階層があります。それぞれが持つ役割に応じて、求められるインテグリティも若干ですが変わるでしょう。以下では、組織において各役職の人物が持つべきインテグリティについてそれぞれ解説します。

経営者

経営者は当然ながら、企業組織において最も影響力を持った存在です。経営者の言動は全社員に伝播すると心得て、経営理念をまさに体現するようなインテグリティを持っていなければなりません。さらに、関係企業を始めとした社会への顔役でもある経営者は、様々な組織や人物と良好な関係を築くために、信頼できる人柄や大局観を備えていることが求められます。経営者自身が高い倫理観を持つことは、企業のコンプライアンス経営の促進にもつながるでしょう。

管理職

現場指揮官としての仕事が求められる管理職には、「認められたい」、「役立ちたい」と部下から積極的に思われるような人間性を持っていることが理想です。そのためは、部下と裏表のない人間関係を築けるコミュニケーション能力や、部下の模範となるような行動が取れるリーダーであることが求められます。

また、管理職には、部下を信頼してときには仕事を任せるような度量の大きさも必要です。企業や社会に主体的に貢献するような人材に部下を育て上げるのも管理職の仕事といえるでしょう。

従業員

インテグリティは末端の従業員に至るまで企業の構成員全員が持つべき資質です。各従業員が求められるのは何よりも、自分のベストを常に尽くすことでしょう。その際には、単に上司からの指示を待つだけではなく、組織のために率先して動く姿勢が求められます。無理やり働かされているのではなく、また、利益や保身のためではなく、自分自身の尊厳のために誇りをもって全力で業務に当たるという心構えが重要です。

まとめ

現代企業に求められているインテグリティの重要性についてご紹介しました。
インテグリティは外から押し付けられるような規則ではなく、各個人の心に根を置いた倫理観です。

インテグリティを企業の管理職が持つことは、企業の清廉さや公益性を助けます。また、従業員が持つことで、お互いに助け合い、組織に役立つような行動を各自が率先して取るような職場構築が期待できます。

企業の健全な成長のために、インテグリティはとても重要な概念です。

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