リファラル採用とは?人事担当が理解すべき促進のポイントも解説

 2021.11.10  AJS株式会社

少子化による労働力不足が深刻化するなか、優秀な人材の確保が難しくなっています。採用活動も難航する傾向がありますが、新たな手法として「リファラル採用」を取り入れる企業が増えています。本記事では、注目が集まっているリファラル採用について、人事担当者が押さえておくべきメリットやデメリット、採用促進に寄与するポイントなどを解説します。

リファラル採用の意味

「リファラル」という言葉には、推薦や紹介という意味があります。リファラル採用とは、社員に自分の知人や友人を紹介してもらう採用手法です。社員自らがリクルーターとなって企業や求人にマッチする人材を採用候補者として紹介するもので、ダイレクトリクルーティングのひとつに位置づけられます。

「リファラルリクルーティング」とも呼ばれ、欧米では主要な採用手法となっています。生産年齢人口の減少により人手不足が顕著になるとともに、個人の働き方も多様化しており、社員の定着率低下などが日本でも問題になってきています。このため、現状打破につながる手法として注目を集めています。

縁故採用との違い

日本に昔からある「縁故採用」との違いについても解説します。どちらも社員のつながりを生かした採用という点では共通していますが、次の2つの点が異なります。まず、縁故採用では「採用が前提」となっているのに対し、リファラル採用はあくまで「採用候補者」を紹介するという性質が強い傾向があります。

次に、縁故採用では血縁的なつながりや、いわゆる「コネ」が優先されるのに対し、リファラル採用では人材のスキルや能力が重視されます。採用の基準やプロセスが明確に存在しており、一定の基準を満たす人のみが採用されます。

リファラル採用のメリット・効果

そのほかの採用手法と比べて、リファラル採用は合理的な採用手法だと捉えられます。それは、次の4つのメリットがあるためです。

ミスマッチを回避できる

リファラル採用の魅力として大きいのは、採用精度の高さです。自社の企業理念や社風、業務内容を理解している社員からの紹介であるため、メリットやデメリットも含めて、自社に関して幅広い情報を候補者があらかじめ把握できます。入社後に理想と現実のギャップが起きにくく、ミスマッチによる早期離職の防止にもつながります。

また、社員の友人や知人であれば、そもそもの価値観や仕事に対する姿勢が似ている可能性も高く、自社の文化に共感してもらいやすい、風土になじみやすいなどもメリットも期待できるでしょう。なにかあれば、心置きなく相談できる相手が社内にいることも安心感を醸成します。

採用にかかるコストを抑えられる

自社の社員による紹介を通じて候補者を選考するリファラル採用では、社外の求職者に向けた宣伝活動は基本的に不要です。通常の採用手法では必要となる求人サイトの広告費や人材紹介エージェントへの紹介料が発生しません。

また、自社で開催する採用セミナーなどのイベント数も減らせるので、人事部の業務負担や人件費も圧縮できます。採用者の定着率が高まれば、一人当たりの採用コストをさらに抑えられます。

採用対象を広げられる

リファラル採用では、転職サイトなどに登録して積極的に活動している人だけでなく、潜在層も対象になります。具体的な行動には移していなくても、「より条件のいい企業に雇ってもらえるのであれば転職したい」と考えている人は多くいるものです。転職ニーズがある潜在層にアプローチでき、競合他社に目を付けられる前に自社を紹介できれば、激化する人材獲得競争において優位に立てます。

エンジニアや研究員など、専門領域の人材募集についても、社員の大学時代のゼミ友達に声をかけるだけで、同様に高度な専門知識をもつ人材を集められる場合があります。転職市場に出ていない優秀層にまで採用対象を広げられるのもリファラル採用の強みです。

社員エンゲージメントを高められる

リクルーターとしての活動を通じて、自社社員の意識・視点が変わることも期待できます。まず、自社に必要な人材を検討する過程で自然と経営者視点が養われます。会社にとって重要な資産のひとつである「人材」の問題について、当事者意識をもつきっかけにもなるでしょう。

採用候補者である友人や知人に対して、企業理念やビジョンについて語るなかで、他社にはない自社の魅力を再確認する場合もあります。これから先、自社でどのような仕事を成し遂げたいのかという将来の展望を考える時間も生まれるでしょう。結果的に、仕事へのやりがいや帰属意識が高まり、エンゲージメント向上が期待できます。

リファラル採用のデメリット・注意点

リファラル採用を行うにあたっては、注意したい点もいくつあります。デメリットも存在するため、人事部での十分な配慮・気配りが求められます。

採用対象者・紹介者への配慮が必要となる

リファラル採用では、選考結果によっては採用が見送られるケースもあります。不採用時に、紹介した社員と友人との今後の関係に亀裂が生じてしまわないように、双方へのケアが必要です。

紹介者である社員に対しては、紹介への感謝を述べるとともに、なぜ不採用になったのかという理由についても誠実に伝えるべきです。合理的な理由があれば、紹介した側の心理的負担も軽減されるはずです。紹介後の面接や選考はすべて人事部で行い、不採用となった候補者に対し、紹介者は選考に関与できないことも伝えておきましょう。

採用となった場合でも、社員と知人との関係性が強くなり過ぎないように職場を分けるなど、人員配置も慎重に行う必要があります。紹介者と職場も同じというケースでは、紹介した相手のミスマッチなどによる早期退職に責任を感じてしまい、気まずさから紹介者も退職してしまうなどの弊害も起きやすくなります。

社員への教育に取り組む必要がある

リファラル採用では、人事とはまったく関係ない仕事をしている社員にもリクルーターとして働いてもらうことになります。事前にリファラル採用の目的や制度について、社員にきちんと共有しておきましょう。人事部の採用方針や求める人材像、必須スキルなどについて具体的に説明し、社員と認識を合わせておくことが大切です。

社員が常に最新の情報を閲覧できる環境を整えておくことも重要です。募集内容が曖昧、情報が古い、といった状況では、人材のミスマッチが起きやすくなります。採用に至ったとしても、早期離職に発展する可能性が高いでしょう。

人材の偏りが出る可能性がある

既存の従業員と似たタイプの人ばかり集まり、人材に偏りが出る可能性も否定できません。人材の多様性に乏しい職場では、皆が同じような仕事・ポジションばかりやりたがるなど、チームによるシナジーが生まれにくくなります。

リファラル採用に積極的な社員を中心に、派閥のようなものができてしまうおそれもあります。自分と気の合うメンバーだけを集めた集団では、なれ合いが生まれやすくなります。公私混同が疑われる職場では、本当に優秀な人が意欲を失ったり、派閥に属さない社員の士気が低迷したりして、悪影響が発生してしまうでしょう。

リファラル採用促進のポイント

リファラル採用を促進するためのポイントについて解説します。具体的には次の4つのポイントを意識しましょう。

長期的な視点をもつ

リファラル採用は、即効性が期待できる手法ではありません。制度が社内に浸透し、成果が出るまでには一定の期間が必要です。まずは、制度に対する既存社員からの共感を得なくては始まりません。「余計な仕事が増えた」と思われないようにするためには、制度の目的やゴールについて、丁寧な説明が求められます。

知人や友人を紹介したいと社員に思ってもらえるまでや、採用に至るまでにも時間がかかりますし、どんなに優秀な人でも新しい職場で戦力となるには一定の期間が必要です。あくまで、採用活動に対する長期的な投資であると捉えることが大事です。

制度・仕組みを整える

リファラル採用の成功には社員の協力が不可欠であり、制度の「分かりやすさ」「利用しやすさ」が肝心です。制度構築の際には、「状況把握のしやすさ」「インセンティブ」「人事評価への組み込み」の3つを意識しましょう。

まずは、募集条件や応募方法を確認しやすくすることに加えて、直近の紹介率や採用率などが可視化される仕組みを整えましょう。すでに多くの社員が利用しており、実績にもつながっていると分かれば、参加への心理的ハードルが下がります。

次に、成果報酬や景品などのインセンティブの設定を検討しましょう。社員のモチベーションアップに直結します。報奨金を支払う場合は就業規則にも明記しましょう。自社の紹介を目的とした知人や友人との会食費用を全額負担する制度の導入も効果的です。さらに、「友人や知人の紹介率」を人事評価項目に組み込んでいる例もあります。

周知を実施する

リファラル採用の制度を構築したら、積極的に社内に周知しましょう。なぜこのタイミングでリファラル制度を導入するのかといった制度の意義や重要性、詳細内容などを社員一人ひとりに認知させることが大事です。単に制度の存在を知らしめるだけでは、活性化にはつながりません。社内ネットワークや社内報など、複数のツールを使って定期的に周知徹底を図りましょう。

リファラル採用の成功に必要なのは、自分もぜひ貢献したいと思わせるような企業文化づくりです。自社の企業理念やビジョンを浸透させて、社員の帰属意識を高めるインナーブランディングに取り組んでいる企業も増えています。このインナーブラディングの取り組みにリファラル採用の要素も組み込めば、相乗効果が期待できるでしょう。

ツールを活用する

リファラル採用専用のツールも、利用促進を後押ししてくれます。具体的には、制度設計や状況把握などの機能があり、人事部の負担を大きく軽減します。紹介状況や採用状況などがリアルタイムで可視化されるので、キャンペーンの効果測定やボトルネックの把握にも役立ちます。

一人の採用に多くの社員が関わるリファラル採用では、どの社員がどれだけ貢献したかが曖昧になりがちです。その点においても、ツールを使えば社員ごとの採用貢献度を正確に把握することが可能です。貢献に対して適正な評価が受けられれば、社員のモチベーションを維持できるでしょう。

まとめ

採用した人材の定着率を高めたい、長期的に採用コストを抑えていきたい、という場合、リファラル採用の導入を検討することをおすすめします。人事部のリソースが限られている場合でも、専用のツールを使えば手軽に環境を構築でき、効果的な運用体制を実現できるでしょう。リファラル採用の文化を社内に浸透させるためには、貢献度を人事評価に組み込むなどの有効な方法を選ぶことが大切です。

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