人事評価の種類とは? 主な課題についても紹介

 2020.11.24  AJS株式会社

人事評価は社員の昇給や昇格、動機付け、人材の有効活用や育成などを図る目的で行われます。種類としては、「目標管理(MBO)」「コンピテンシー評価」「360度評価」が一般的です。今回はこれら3つの方法のメリットやデメリット、人事評価における課題について詳しく紹介します。

人事評価における課題

人材派遣会社大手のアデコの調査によると、勤務先の人事評価制度に何かしらの不満を感じている人の割合は全体の6割以上(62.3%)にも及んでおり、その理由としては、主に次のような事柄が挙げられています。
※「参照元

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評価基準が不明瞭

この調査結果では、勤務先の人事評価制度に何かしらの不満を感じている人のおよそ6割(62.8%)が、「評価基準が不明瞭」であることを理由にあげています。一方評価者も、「評価が適切にできていない」と答えた人のおよそ半数(50.9%)が、やはり評価基準のあいまいさをその理由にあげています。評価者も被評価者も明確な基準もないまま下される評価、あるいは自分で下さなければならない評価に納得できないというのは、当然のことといえるでしょう。

評価者間で評価にばらつきがある

複数の担当者で評価を行うような場合には、誰が評価したかによって結果に違いが出てしまうという事態につながる可能性があります。

統一された明確な基準がなければ、担当者は各自の経験や価値観、個々の従業員に対する印象などを基準にして、評価を行うことが懸念されます。

また基準が明瞭であっても、ハロー効果や寛大化傾向など、人間が陥りやすい評価エラーが発生することもあります。人が変われば評価も変わるというのでは、評価される側はたまったものではありません。評価者間のばらつきは、人事評価制度が抱えている大きな課題と言えるでしょう。

評価に関するフィードバック、説明が不十分

評価者から評価が伝えられる際、単に結果が記載された書類を一枚もらうだけというのでは、なぜそのような評価が下されたのかがわからず、納得がいかないときには不満や不信感を感じることにもなりかねません。また、それによるモチベーションの低下の恐れもあります。

こうしたことを防ぐためには、「なぜこのような評価になったのか」「評価を上げるにはどのようにすればよいのか」などのアドバイスを、各従業員に直接説明するフィードバックの機会を仕組み化することが必要となります。

目標管理制度(MBO)とは

ここからは、人事評価の3つの方法について見ていきます。

「目標管理制度(MBO)」は著名な経営学者で「知の巨人」としても知られている、ピーター・ドラッカー教授が提唱した制度です。従業員は個人やグループで、業務において果たすべき、あるいは目指すべき目標を立てます。そして、最終的にその目標がどれくらい達成されたかを評価者が確認し、それがその従業員の評価となります。

メリット

MBOでは、自らが立てた目標に基づいて行動するため、評価の基準は従業員にとって明確なものとなります。また結果についても自分が一番よく分かっているため、下された評価に対して従業員が不満をもつことは少なくなるでしょう。担当者にとっても、基準が明確になることで評価がしやすくなります。さらに従業員が自ら目標を立て、その達成を目指すことにより、個々のモチベーションや能力が高まる効果も期待できます。各自が目標を着実に達成していけば、少なからず会社全体の業績アップにもつながるでしょう。

デメリット

この制度でポイントとなるのは、目標は従業員が自ら立てるものだということです。もちろん目標を立てるにあたっては、上司と相談を重ねたり、許可や確認をとったりすることも必要です。しかし上司が関わる度合いが強くなると、表向きは従業員が立てた目標であっても、それは名ばかりで、実際は形を変えた「ノルマ」ということにもなりかねません。また従業員が自らの評価を上げるための手段として、最初からあえて容易に達成できるハードルの低い目標を立てたり、目標の達成に関わりの乏しい仕事には手を付けなくなったりといったことが起きてしまうことも懸念されます。

コンピテンシー制度とは

一般に、いわゆる「仕事ができる人」には、その知能レベルや学歴等に関わらず、性格や考え方、仕事への取り組み方や進め方などに、共通した傾向(コンピテンシー)があることが分かっています。それを利用し、高い業績を上げている従業員のコンピテンシーを分析して、クリアすべき項目を設定し、それを評価の基準としたものが「コンピテンシー評価」です。具体的には「業務を効率よく進められる」「人の話をしっかり聞く」「周囲と適切にコミュニケーションが取れる」「計算能力がある」といった項目が細かく設定されます。

メリット

評価のポイントがはっきりしているため、評価者、被評価者双方にとって取り組みやすく、納得もしやすい制度です。また評価の基準はそれ自体がよい結果を出すための「コツ」ということになるため、成績の振るわない従業員にとっては、成績アップのきっかけにもなりえます。さらに、従業員それぞれの得意分野や苦手分野も明確になります。そのため人員配置やマネジメントを適切に行うことができ、業務のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。一方、結果だけでなく、そこに至るまでの過程も評価の対象となるため、結果だけで評価されてしまうという従業員の不満を防ぐこともできます。

デメリット

評価の基準となるコンピテンシーには、特に定型などがあるわけではありません。導入する場合は、まずそれを策定するところから始めることになります。業務内容が異なればコンピテンシーも異なるため、営業と経理など、部署ごとや業務ごとに策定していくことも必要です。また経済や社会情勢、社内体制などが変われば、それに伴って会社の方針や事業内容も変わります。そうしたときにはコンピテンシーの見直しや、場合によっては抜本的な改正を行わなければなりません。このように、この制度では、導入や維持に手間や時間がかかってしまうということに留意する必要があります。

360度評価とは

「360度評価」とは、上司や特定の担当者に加えて、部下や同僚など、被評価者の周囲にいるあらゆる人が評価を行う方法のことを言います。

メリット

一般に価値観や立場が変われば、人や物に対する見方も変わります。部下や同僚が加わることで、内に秘めている意識や周囲への気配りなど、上司には見えていなかった部分が評価の対象になることも多くあるため、公平性や客観性も高くなります。下される評価も、特定の人だけでなく、さまざまな人の見方が反映された結果で、被評価者にとっても受け入れやすく、自然と納得せざるを得ないという気持ちにもなるでしょう。また自らが評価者になったり、より身近な人たちから評価を受けたりすることで、従業員が自分自身を見つめ直す機会になり、それが仕事への積極的な取り組みや意識の向上につながるといった効果も期待できます。

デメリット

一方で、こうしたことは悪い方向に向かってしまう可能性もあります。例えば、部下からの評価を気にするあまり、上司が適切なマネジメントをしづらくなったり、無難な評価に終始してしまったりするようなケースも見受けられます。また評価が低かったことで周囲に不信感を持つなど、かえって会社内や部署内の雰囲気や人間関係が悪くなってしまうことも考えられます。さらに従業員が評価することに慣れていないと、自分の立場などを評価の基準にしてしまい、下す評価も公平性や客観性とはおよそかけ離れたものになってしまうといったことも懸念されます。

まとめ

「評価管理制度」、「コンピテンシー制度」、「360度評価」に共通しているのは、「基準は明確で、かつ客観的なものでなければならない」ということです。これはそのまま人事評価の課題にもなっています。

どの方法においても日ごろから客観的観察を怠らず、評価者研修や基準の数値化などの工夫によって公正に行うことが求められます。


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