カンパニー制とは!? 企業が導入するメリットや人事評価のポイントについて解説

 2021.10.13  AJS株式会社

組織構造の議論でよく話題に上るカンパニー制とは、どのような組織体系で、どのような特徴があるのでしょうか?カンパニー制は、事業部制とは異なる組織成長が期待できます。本記事では、最近増え続けているカンパニー制の概要やメリット、導入のポイントについて詳しく解説します。

カンパニー制とは

カンパニー制とは、企業における編制形態の1つです。具体的には、あらゆる事業を同時に進めている1つの企業において、各事業を1つの会社のように定めて事業を進めていく編制のことをいいます。

本制度を導入することで、それぞれの事業における効率性や組織力の向上、業務スピードの高速化、責任の所在の明確化などを図ることができ、企業全体の力を最大化できる経営体制として注目されています。

カンパニー制と事業部制の違い

よく比較される体制として事業部制があります。事業部制とは、本部の下に事業ごとに編制された形態を指します。本部の業務負担を減らし、それぞれの事業でスピード感をもって意思決定できることが最大の強みです。

では、両者の大きな違いはどのような点でしょうか。
まず1つ目に、「会計制度」における違いがあります。事業部制は売上などの会計面に関しては独立型ではありません。いっぽう、カンパニー制は企業会計も独立採算制としています。

2つ目の違いは、「意思決定」です。事業部制では本部や全体としての会社の承認が必要ですが、カンパニー制は、法的には社内計上扱いですが制度上は別会社扱いとなるため、会社の承認を待つことなくスピーディに意思決定を行えます。そのため、経営スピードが速いという特徴があります。

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カンパニー制導入のメリット

カンパニー制の概要と事業部制の違いについて見てきたところで、ここではカンパニー制を導入するにあたってのメリットを解説します。主なメリットは以下の3点です。

  • 責任を明確化できる
  • 柔軟かつ迅速な事業展開ができる
  • 組織力強化が期待できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

責任を明確化できる

「責任を明確化できる」点は、カンパニー制の最大のメリットとも言えます。組織内の編制図が明白なため、責任の所在も明確にできます。

一般的な編制の場合、1人が複数の事業を兼任しているケースも多く、かつ業務が複雑に入り組んでいるため、問題の責任を明確にすることが難しいこともあります。しかしカンパニー制の場合は、業務の兼任や、1つの業務に責任者が複数いる状態を避けられるため、責任の所在を明確化できます。事業部制の場合は、その事業部が所属する地域や、扱う商品/サービスについて責任を持つため、複数の責任者が存在します。

例えばA事業部の範疇がB、C、Dという商品を担当している場合、B商品の責任者は1人ではありません。例えばB商品を製造する生産部門やそれを販売するセールス部門、さらにはマーケティング部門など複数の責任者が存在します。セールス部門は場合によってインサイドセールスや法人セールス、コンシューマーセールスなどに分かれるかもしれません。するとさらに1つの商品に対する責任者が増えていきます。何か問題が起こった時も、責任は生産部門が取るのか、セールス部門が取るのか、はっきりしないこともあり責任の所在はさらに複雑化するおそれがあります。そのような状況はA事業部の商品CとDにも言える事です。

いっぽうでカンパニー制であれば、通常B、C、Dという商品それぞれに、1人が生産から販売、マーケティング、さらには人事、経理まですべてに責任を負うため、責任の所在が明確です。そのため、責任者が当事者意識を持ち、その事業における収益の最大化に注力できます。「責任」という意味で、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

柔軟かつ迅速な事業展開ができる

カンパニー制を導入する2つ目のメリットは、「柔軟かつ迅速な事業展開ができる」点です。
その会社の規模よりもかなり小さい「カンパニー」は、人事権や経営に関する裁量権に関しても小さな規模で行えます。規模が小さいとスケールしにくい難点はあるものの、一般的な企業で行われている複数の上長や本部への承認手続きを踏まずに意思決定が行えます。それにより、市場や顧客ニーズの変化にもスピーディに対応できると言えるでしょう。

特にスピード感が必要な昨今のビジネスでは、迅速で柔軟な意思決定は非常に重要です。「本部に承認されたが少しタイミングが遅かった」という事態も免れます。市場ニーズの変化が早い現代において、迅速にビジネス展開ができるメリットは計り知れません。

このメリットを最大限享受するためには、本部はあらゆる意思決定の権限委譲を行い、本部のマネジメントは最小限に抑えることが肝心です。

組織力強化が期待できる

組織力強化が期待できるのは、企業内競争を促すという意味で有用です。カンパニー制は、1つの会社であっても内部に複数の企業が介在する組織形態です。そのため、それぞれの編制が同じ社名ではあるものの、それぞれに競争を促すような関係が出来上がるのです。

競争力のある商品やサービスを生み出すことは、これまでの経営の歴史を見ても明らかです。それを1つの会社内で作ることは非常に大きなメリットです。

また1つの会社であるものの、それぞれが独立した編制であるという意識から、当該事業における責任感と誇りが生まれます。それはさらなる組織力強化に繋がり、生産性や売上の向上が期待できます。

カンパニー制導入に際する人事評価のポイント

前項ではカンパニー制の具体的なメリットについて考えてきました。メリットの多い制度ですが、主に人事評価の面で注意すべき点として以下の2つが挙げられます。

  • リーダーシップ評価基準の整備
  • 業績に対する評価基準の明確化

それぞれ詳しく見ていきましょう。

リーダーシップ評価基準の整備

カンパニー制を導入する場合、それぞれの事業を担うリーダーの存在が必要不可欠です。リーダーの育成が進まなければ、本制度を運営していくことは困難です。カンパニー制では、一人の裁量範囲が大きくなるため、それぞれが経営的な視点を持って日々業務を遂行することが求められます。そのため、リーダーには、統率者として必要な知識や様々な手法を習得してもらう必要があります。また、リーダー以外の個々人も裁量権が大きくなるため、それぞれがリーダー意識を持った業務遂行が求められるでしょう。

上記の理由から、リーダーシップを持って仕事を遂行している社員への評価を重視する必要性があります。また、こうした意識を持つ人材を増やすことが評価基準整備の目的のひとつです。ただし、本制度導入の初期段階では本部がバックアップしていくことも忘れてはなりません。

業績に対する評価基準の明確化

「業績に対する評価基準の明確化」は、裁量権が大きいからこそ重視すべき注意点です。
先にも述べた通り、カンパニー制は個々人の裁量権が非常に大きい組織形態です。そのため、社内全体として業績に対する評価基準を統一しておくことが重要です。

評価制度が統一されていなければ、各カンパニーにおける成績が反映されにくくなり、社内全体に不満が溜まる可能性があります。それによって離職率が増加したり生産性が低下したり、といった事態になるおそれもあります。そうならないためにも、成果を適切に評価できる人事の仕組みや適切な人事評価制度の導入は必要不可欠といえるでしょう。

適切な人事評価制度の設定は社員のモチベーションや生産性の向上といった面でも重要です。しかし、せっかく整備した評価精度もきちんと運用が出来なければ意味がありません。決まった期間で適切に評価制度を運用していくにあたっては人事評価システム「P-TH」が役立ちます。評価の進捗状況を一目で確認できるのはもちろん、集計表や一覧表もすぐに作れるため評価にかかる作業時間を大幅に削減でき、評価の甘辛を精査することも可能です。また、エクセルをそのままシステム化できるため社内での定着の手間が最小限に抑えられるのも魅力の一つです。一度検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

カンパニー制はメリットの多い組織体制と言えます。事業に対し強い責任感が生まれることに加え、特に変化の激しい現代では、意思決定が迅速にできる面も大きなメリットです。事業の成長速度に課題意識を感じている場合、この制度導入は最適解となりうるかもしれません。さらに、カンパニー制では適切な人事評価制度が欠かせません。AJSの提供する人事評価システム「P-TH」は社員のモチベーションを向上させる一助となり、企業のさらなる成長をサポートいたします。

株式会社サクセスボード 萱野 聡<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。 米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー。
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