人事評価への不満はどこから?発生原因や対処方法

 2020.10.05  AJS株式会社

期待していた社員に急に退職されてしまうことが相次ぎ、頭を悩ませている経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。しかし、その場合にはもしかすると社内の人事評価制度に問題があるのかもしれません。この記事では人事評価に対する不満の原因とそれを未然に防ぐための解決策について解説します。

社員の約6割が不満を抱えている

そもそも、自社の人事評価制度に賛同している社員がどのくらいいるのかリサーチしたことはあるでしょうか。人材サービス企業のアデコが2018年に1532人を対象に実施した「『人事評価制度』に関する意識調査」によると、全体の62.3%が勤め先の人事評価制度に何らかの「不満」を感じていることが判明しています。主な不満理由としては、「評価基準が不明確」と回答した人の割合は全体の62.8%で、「評価者の価値観や経験に左右されやすく不公平」という回答も45.2%に上ります。つまり、社員の多くは評価制度の不透明さや不公平さに不満を持っている可能性があるということでもあり、人事評価制度の根幹に関わる問題が透けて見える結果となっています。

人事評価への不満につながる原因

本来は社員のためものであるはずの人事評価制度が、なぜここまで不満を生んでしまうのでしょうか。ここからは人事評価への不満につながる原因を掘り下げていきましょう。

その1: 評価基準が不明確

まず、人事評価基準は明文化したうえで、社員にも共有されるべきものです。実績で評価されるのか、あるいは能力や態度で評価されるのか、評価基準が曖昧ではどこに注力すれば良いのかが分かりません。また、評価基準があっても、社員に周知されていなければあまり意味がありません。自分の何が評価されているのか分からなければ、業務に対するモチベーションも上がりにくくなるでしょう。また、企業によってはそもそもの評価基準自体の精度が低く、評価方法が確立されていないケースも散見されます。こういったケースでは、評価する側も困惑していることが多いと言えます。

その2:評価者の主観によって判断される

評価者の価値観や経験によって評価が異なることも不公平感を生む原因の一つです。客観的な判断を心掛けたとしても、人間である以上、主観を完全に取り除くことは不可能です。しかし、そもそも明確な基準がなければ、主観で判断せざるを得ないという状況にならざるを得ません。主観による判断で生まれるムラをなくすためには、社内で合意が得られた評価基準が必要です。

すでに評価基準がある場合も、業務内容にかかわらずすべての社員にも公平な基準となっているかという視点で、今一度見直してみるべきかもしれません。また、評価者の人選が適切かどうかという視点も重要です。客観的な視点を持っていたとしても、評価者が社員の仕事ぶりやその難易度を判定できる立場にいなければ、正当な評価は下すことは難しくなります。

『月刊人事マネジメント』事例掲載
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その3:フィードバックが十分ではない

人事評価において最も大切な部分は、評価後の個別のフィードバックです。評価基準が統一されていても、評価されやすい部分は仕事内容によって差があります。ですから、具体的にどこが評価されたのか、あるいは次のステップに上がるための課題は何であるかを相手に分かるようにフィードバックする必要があります。自分のどこに課題があるのかが明確にならないと努力のしようがなく、モチベーションを維持することが難しくなります。加えて、また、フィードバックを受けたことで、正当な評価が受けられていないとして却って社員の不満を増大させてしまうこともあります。これは、根拠のない一方的なフィードバックを行った場合に起こりがちな事柄でもあります。

人事評価が社員に与える影響

人事評価に不満がたまると、次の3つのステップで負の連鎖が起こっていきます。まず、頑張っても思うように評価されないことが続くと、仕事へのモチベーションが低下します。そして、同じ仕事をしている同僚は評価されているのに自分は評価されず、その根拠が不明確という状況では、社員同士で協力しようという気持ちが起きにくくなります。これが2番目の段階です。この状況では必然としてチームの雰囲気が悪くなり、チームワークによる相乗効果も生まれません。それでも人事評価が改善されないと、最終段階としていよいよ退職を考える社員が増えていきます。優秀な社員に相次いで退職されてしまうことは、会社にとって大きな損失にほかなりません。

社員の不平・不満をためないためにできること

ここからは、社員の不満をためないために取るべき対応策について説明します。

評価基準の見直し

まず、誰にとっても公平になるように評価基準を見直しましょう。そのためのポイントとしては、複数の評価軸を置いた上で、業務で関わりがある多方面の評価者からの総合評価にすることです。

基本となる評価軸としては「成績評価」「能力評価」「情意評価」の3つの軸が挙げられます。
まず、成績評価では仕事のアウトプットを数値化して客観的に判定します。ただし、公平を期すためには、達成・未達にかかわらず、それまでのプロセスも評価の対象に入れることが望ましいと考えられます。

能力評価では、仕事に必要な知識や経験などを評価するものです。ただ、能力を評価する場合には、資格の有無などのほか、業務で求められる要件に照らし合わせて評価することが重要です。このため、貢献度の高い社員に共通する行動モデルをベースにする「行動評価(コンピテンシー評価)」を組み合わせて導入すると効果的に働く場合があります。

情意評価では、勤務態度や協調性、仕事に対する意欲などを評価しますが、この軸はもっとも評価者の主観が入りやすいので注意する必要があります。成績評価と情意評価については、上司の判断に加えて、部下や同僚、関係部署の担当者の意見も取り入れる360度評価を行うほうが公平になる場合もあります。判断材料が足りない場合は、取引先からの信頼度も参考になるでしょう。

評価基準の正当性を共有する

人事評価基準を見直しても、それぞれの企業の特性に合わせて評価されやすい人材像というものが存在する以上、評価に対して不満を抱える社員は一定数存在します。評価のポイントは不満を抱いている社員をいかに納得させて、モチベーションを維持させるかにあるとも言えます。まずは、明確な評価軸をもって公平に人事評価を行っていることを周知しましょう。そのうえで、個別のフィードバックでは、どのような能力やスキルを身に付ければより高い評価を受けられるのかをロジカルに説明しましょう。たとえ自己評価より低い評価が戻ってきても、丁寧なフィードバックが受けられれば、きちんと自分を見てもらえているのだという安心感を保つことができます。目標達成のために向かうべき方向も明確にすれば、個人のモチベーションを上げることも可能です。

積極的にコミュニケーションをとる

上司と部下の間で、積極的にコミュニケーションを行うことも大事です。上司とのコミュニケーション不足があると、「上司が自分の仕事に関心がない」「仕事を見ていないのだから正しい評価ができるわけがない」という不満のもとになります。上司の立場にあったら定期的にチームミーティングなどを行い、部下からも業務の進捗状況を報告してもらうなど、相互にコミュニケーションを取ることを意識しましょう。上司と部下で共有している情報が多ければ多いほど、目標達成するまでのプロセスの評価や的確なフィードバックも行いやすくなります。コミュニケーションの補助として社内SNSツールを取り入れるのも一つの方法です。SNSを利用すれば、都度の報告の形を取らず業務の進捗状況を把握・共有したり、目標に向けたプロセスを振り返って追跡したりすることがしやすいので便利な面があります。業務の全体像を捉えることで、透明性の高い評価が可能になるのです。

アンケートをとる

社員に人事評価に関するアンケートを実施し、納得度を確認するのも一つの方法です。不満を声に出す社員ばかりとは限らず、経営陣や人事担当者が想定している以上に、社内に潜在的不満が蓄積している場合もあります。社員の生の声を吸い上げるためには、匿名でのアンケートが基本です。答えた人が特定されるようなフォーマットでは本音を聞くことは難しくなるでしょう。

まとめ

人事評価によって社員のやる気を引き出し、退職を防ぐためには、明確な評価基準を作ってその基準を周知徹底することが大切です。人事評価は単に社員を考課するだけのものではなく、社員の成長を支援するための側面もあります。公正で社員にも支持される人事評価制度を取り入れ、業績の向上につなげていきましょう。

人事評価フローの改善に役立つチェックシート

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