人事評価での注意点 “評価エラー”に陥らないためには

 2018.02.26  AJS株式会社

評価される側にとって、人事評価(考課)は非常に緊張、あるいは期待するものでしょう。しかし実は被評価者だけでなく、評価者にとっても課題となっている場合が多いものです。

今回は、評価者の立場となった場合の注意点を、評価者が陥りやすいエラーとともにご紹介します。

人事評価のカギは「公正であること」

人事評価には、「経営方針等に沿った具体的な目標を社員に設定・達成することによる会社全体の業績アップ」「社員育成による長期的視野での会社成長」などの目的があります。これらを完遂し、会社として成長を続けるには、人事評価の目的や重要性を理解するだけでなく、なにより「公正」でなければなりません。

人事評価は処遇に大きく関わるため、評価結果が公正であると理解・納得できなければ、社員のモチベーションは上がらず、結果として人事評価の目的を達成することは難しくなります。

公正な評価であることへの理解・納得のためには、結果ありきではなく、事前に具体的な目標や達成基準を設け、その進捗具合や結果を可視化できる人事評価表が必要です。

また、評価表の受け渡しで終わらせず、目標の擦り合わせやフィードバック面談も重視し、評価への信頼を得なければならないでしょう。

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人事評価のエラーとは

人事評価には、評価者によって違いが出てしまう「評価エラー(評定誤差)」と呼ばれるものがあります。主に序列で評価する相対評価と違い、評価者の力量が問われる絶対評価ならではのエラーとも言えます。

評価エラーによる不公平な評価と処遇は社員に不満をもたらし、評価の目的を達成することが困難となるので、エラーを理解し、「今の判断に誤りはないか」と意識することが大切です。

人事評価での注意点 “評価エラー”に陥らないためには1

ハロー効果

(後光効果)

評価対象が持つ顕著な特徴に引きずられ、他の評価が歪められてしまうこと

ひとつの「良かった」「悪かった」実績が、他の評価要因にも作用してしまうこと

親近効果

「同郷」「趣味や出身学校が同じ」など、親近感を覚える相手に対し評価が甘くなってしまうこと

外部要因効果

(帰属要因効果)

評価対象者よりも、外部要因を過大(過小)にとらえ、評価に反映してしまうこと

取引先関係者であることへの配慮、景気の動向を考慮する等

寛大化傾向

部下によく思われたいなどの理由から、全体的に評価が甘いこと

中心化傾向

評価業務に自信がなかったり、人間関係などを考えたりして、評価が中央に集中してしまうこと

厳格化傾向

管理職意識が高いなどの理由から、全体的に評価が厳しいこと

逆算化傾向

先に総合評価(最終評価)を決め、その結果を導くために逆算して評価内容を調整、帳尻合わせをしていくこと

主に昇格・賞与等の処遇へ反映するために行う

論理的誤差

評価者独自の論理で評価してしまうこと

(事実を確認せずに、「〇〇大学出身だから〇〇能力が高い」といった推論が評価に反映されてしまう等)

対比誤差

評価者自身と比較して評価してしまうこと

(自分の専門・得意分野においては厳しく、専門外・苦手分野については甘く評価してしまう等)

近似点考課エラー             

(近接誤差)

(期末誤差)

評価期間終盤の出来事が強く印象に残り、期間全体の評価に影響すること

※行動事実の記録などで予防することが可能

アンカリング

最初に提示された結果を無意識に基準としてしまうこと

例えば、評価対象者が自己評価として提出してきた評価表の数字(結果)が基準値(アンカー)となり、適切な評価ができなくなってしまうこと

※アンカー:船の錨のことで、錨をおろした船の動ける範囲が限定されることが由来

評価者がエラーを意識する以外の対策としては、以下のような取り組みが考えられます。

  • 評価者研修などを通して、評価レベルを一定に近づけていく
  • 評価基準の共有
  • 評価の二段階制
  • チェック機構を設ける

人事評価面談の注意点とは

評価に対しての信頼性を高め、社員の成長に繋げるために、面談は欠かせません。注意点を含め、人事評価面談のポイントを考えます。

行動事実に基づく、根拠のあるフィードバックを行う

評価結果について理解・納得を得るためには、目標と目標達成基準に照らし合わせ、行動事実を基にフィードバックをします。常日頃から部下の業務に気を配り、気付いた点を記録した上で臨めば、「自分をしっかり見てくれている」という部下からの信頼にも繋がります。目標未達、問題行動などのマイナス評価について、個人的感情を入れない注意も必要です。

マネジメントを意識し、指導・育成を念頭においた面談を行う

評価結果と根拠を伝えるだけでなく、目標遂行によって発見した能力や課題について分析し、今後はそれをどう伸ばすか、どうクリアしていくかのビジョンを共有し、指導・育成に繋げます。フィードバックは目標設定面談に繋がるものであり、ゴールではないという認識が必要です。

コミュニケーションを重視した面談を行う

評価者が一方的に話すのではなく、評価対象者の自己評価を聞き、今後の互いの展望を話し合うなどのコミュニケーションの場としての活用も有用です。ただし、普段からのコミュニケーションがあるからこそ、面談の場でも信頼して話し合えることをマネジメントとして意識すべきでしょう。

常日頃からの仕事ぶりを確認し、それを評価することで、評価対象者のモチベーションや能力を向上させることが、評価者の責務です。つまり、評価は部下だけでなく、上司である評価者自身のマネジメント力が問われる機会でもあります。

人事評価制度には、評価を通し、上司・部下の双方が成長することが求められます。

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