主観的な評価を防ぐ公平な人事評価制度とは

 2019.10.14  AJS株式会社

強固な組織作りや社員の成長を目的とする人事評価制度ですが、制度設計や運用方法によっては、マイナスに働くケースもあるようです。

その原因のひとつが、「公平性の欠如」だと考えられます。

今回は、人事評価制度における公平性とは何か、主観的な評価を防ぎ、公平な評価を実施するには何が必要かをご紹介します。

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人事評価における公平性

公平性とは

一般的に、「全てのものを同じように扱うこと」が公平の意味するところです。

しかし人事評価においては、「営業職と事務職が同じ売上目標を持つ」「主任クラスの社員と新入社員に同じ指導力を問う」というわけにはいきません。

結果を出した社員と、出せなかった社員、周囲のペースダウンを招いた社員が同じ処遇であったら、結果を出した社員のモチベーション低下を招き、人事評価制度の目的が果たせません。

役職も役割も違う、様々な人間が集まってこその組織ですから、それらに応じた平等な評価項目があり、努力や成果が処遇に正しく結びついてこそ、公平な人事評価制度だと言えます。

また、「あの上司だから評価が低い」「趣味が同じだから優遇されたかも」など、評価者によって評価結果が違えば、「公平性の欠如」が問われ、被評価者の評価に対する理解・納得は得られません。

人事評価制度における公平性では、「職種や役職、経験年数などに合わせた適切な評価項目の設定」や「評価者による客観的な評価」はもちろん、「評価結果に対する適切な処遇」はもちろん、「評価者による客観的な評価」も重視すべき要素なのです。

もっと読む:人事評価制度を人材育成につなげるために必要なこと

公平性が納得感に繋がる

社員一人ひとりが十分な力を発揮し、組織に貢献するための要素として、「納得感」があります。

『月刊人事マネジメント』事例掲載
「人事評価制度見直し」決断する前にやること

目標設定や評価結果、処遇に対して納得できなければ、モチベーションの維持・向上が困難であることは明白です。

社員の成長に繋がる最適な目標が設定され、その達成度に対し適切な評価がなされ、評価に応じた平等な処遇が用意されるのであれば、人事評価制度を社員が素直に受け入れ、組織強化や人材育成という目的達成に近づくことができるでしょう。

公平性を高く維持し、社員の納得感の向上に繋げることが、人事評価制度には必須です。

公平性を高める方法

前述した通り、人事評価制度における公平性とは、全ての社員に対し、全く同じ評価基準を設けることではありません。

人事評価制度の持つ目的を大前提として、各人の役割に合わせた評価項目(目標)や適切な評価、評価に応じた処遇が必要となります。

これらの精度向上が公平性を高めることに繋がるわけですが、多くの企業・組織がこの課題でつまずき、人事評価制度の機能低下に陥っているようです。

では、公平性を高めるには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。

人事評価制度の設計・運用と周知

現状の人事評価制度が公平性に欠けていると感じるのであれば、制度自体の見直しが必要です。

まず経営理念やビジョンに基づいた人事評価制度を再設計します。そして自社に求められる人材や評価基準を明確にした上で、周知し、社員の理解を得ることが必要です。

また、目標設定も評価方法も適切な基準が設定されていなければ公平性が問われますから、人事評価制度の目的を果たすための運用には、それらの基準が整備されていることが重要となります。

特に、急成長や事業規模の拡大で、企業の目指すところや人員構成の変化に人事評価制度が追いついていない場合は改善が必要です。

評価者に求められる能力

人材育成も目的としている人事評価制度において、要となるのが評価者です。

目標設定時からの管理や評価結果の作成、フィードバック等を通して部下(被評価者)の育成を図るのですから、その責務は重大です。

主観が介在しない評価業務を遂行し、全ての評価者が目線を合わせなければ公平性は保たれません。評価者によって偏りのある評価であってはならないのです。

人事担当者に求められる能力

人事担当者に求められる能力は、自社の経営戦略を理解し、それを基にした人事戦略を実現するための人事評価制度を企画し、運用できることです。

評価者教育のために新しい研修を立案する企画力、広い視野で自社の社員を見つめ、課題を発掘し、解決していく実行力など、求められる能力は多岐に渡ります。これらの能力を満たした担当者になるには、社内のルーティンワークを繰り返すだけでは、不十分であるといえるでしょう。さらに、人事担当者には総合的な人間力が問われるため、普段からさまざまなことに興味関心を持ち、自社の課題解決に必要な要素を模索する習慣を身に付けることも大切でしょう。

このように人事評価を担当する人事担当者には、高い運用スキルや膨大な量の業務遂行が求められますが、人事評価以外にも多くの業務があるために改善が遅れ、制度が機能不全に陥るケースもあるようです。

人事評価には、高い運用スキルや膨大な業務遂行が求められますが、人事評価以外にも多くの業務があるために改善が遅れ、制度が機能不全に陥るケースがあるようです。

そんなときは専門家に相談することも選択肢のひとつです。

人が人を評価するため、評価者全員の評価結果を完璧に一致させることや、全ての人が公平だと納得する制度はありません。しかし常に公平性を意識した運用を継続し、必要に応じた対策を講じることが、人事評価制度運用には必須と言えるでしょう。

<< コラム監修 >>
株式会社サクセスボード 萱野 聡
日本通運株式会社、SAPジャパンで採用・教育を中心とした人事業務全般に幅広く従事。人事コンサルタントとして独立後、採用コンサルタント、研修講師、キャリア・アドバイザーとして活躍中。米国CCE Inc.認定GCDF-Japanキャリアカウンセラー、産業カウンセラー
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